2012年4月29日日曜日




参考)疫学入門  いずれも全文無料でpdfダウンロード可能


上田昌文小牧史枝 「素人のための疫学入門市民科学研講義録 プレゼンテーション資料+解説 pdf 


・木原雅子,木原正博監訳 (2008), WHOの標準疫学: 三煌社   http://whqlibdoc.who.int/publications/2006/9241547073_jpn.pdf

・Chongsuvivatwong, Virasakdi (2007), "Analysis of epidemiolo data using R and Epicalc."   http://cran.r-project.org/doc/contrib/Epicalc_Book.pdf  RのEpicalcをつかった入門→ポアソン回帰まで


・古いがガンの統計分析のバイブル的なものらしい2冊 Amazonでは「書籍」は有料で販売されている。
Breslow, N. E.  and N. E. Day (ed.) (1987), Statistical Methods in Cancer Research Vol. I: IARC Scientific Publications No. 32

Breslow, N. E.  and N. E. Day (ed.) (1987), Statistical Methods in Cancer Research - Volume II - The Design and Analysis of Cohort Studies: IARC Scientific Publications No. 82

上記2冊の著者 BreslowのHP データのダウンロード可能 http://faculty.washington.edu/norm/datasets.html



2012年4月10日火曜日


平成23年度 資源エネルギー庁が平成23年度第一次補正予算で実施した原子力安全規制広聴・広報事業  事業報告書 について  2012/4/10 送信

 昨日みたときはこのページからリンクがはってあったが、現在はなくなっている。幸いにもダウンロードしていたので、ここに公開する。    
 これは3/31に書き始めたもの。その後再公開されたので、報告書についてはここを参照。 それを踏まえて公開されたQAはこちら。


1.背景情報 
 このプロジェクトにはもちろん何の関係もないが、東大原子力で修士終了後、野村総研で3年程度勤務。官公庁のプロジェクトも担当。博士課程などを経て現在は慶應でマーケティング担当。対面でのクチコミ、インターネット上での書き込みなどのeクチコミは研究テーマの柱の一つ。例えば最近のこれを参照。クローリング(キーワードサーチして、ヒットしたコンテンツをダウンロード。そこから必要な部分を切り出すこと)も自分でしている。 官庁の仕事もしたので、仕組みはだいたい推測できる。


2.この事業の入札公告
 仕様書をみると、事業開始から1ヶ月程度で30問以上、事業終了時までには100問以上のQ&A集を作成すること。」とある。


3.問題点
 インターネット上の情報を検閲しているかのようにもとられるプロジェクトであるという根本的な問題がある。これはひとまずおいて、いくつかの問題を指摘する。


1)成果物の仕様違反
 仕様書には上にあるように100問以上を作成するとある。しかし、この報告書には60問程度しか設定されていない。明らかに仕様を満たしていない仕様違反である。
  下記の天ぷら報告書 の項も参照

2)入札時の評価項目
 事業従事予定者に、事業内容に関する専門知識・ノウハウ等があるか。
  →アサツーDK ADK(旭通信社と大広という代理店が合併もしくは持ち株設立)に放射線についての専門的な知識があるはずはない。  



3)過大な費用
 ・7400万円で落札したとある。 
  野村も別プロジェクトを同じ時期に落札しているよう。 
 それなりに知識のある良心的な者を招集すれば200万円もあれば十分できる内容。明らかに過大な金額。


(1)謙虚な見積もり例
 ・データの収集、整理
キーワードを指定してクローリング。簡単に分類集計。グラフ作成。
それなりのスキルが必要なので。単価を高めに。
 2万円/人日×30人日  ~60万円


・QA案の作成 それらからQとあわせてAを70程度作成。
 質問作成専門家?に意見を聞いてとりまとめ。
 1万円/人日×70人日  ~70万円   →多分どこかの院生をバイトで使用


・委員への手当
 1問あたりもっとも詳しそうな専門家に意見をきく(複数にきくと対立したりして面倒なので)。
 1問あたり5000円の手当。
 5000円×64問 =32万


・検討会議の開催
 1日のみ回答作成専門家を招集して検討会開催。
 (日給2万+交通費 )×5名 ~20万円 程度


・報告書執筆、プロジェクト管理
 1万円/人日×20人日  ~20万円
計 200万 程度。 


(2)過大な見積もり例
・データの収集、検索、収集のためのシステム構築
 必要な機器、ソフトウエア 1000万円
・このための人件費。
 主任研究員20万円/人日×60人日  ~1200万円
 研究員10万円/人日×60人日  ~600万円
・QA案の作成
 それらからQとあわせてAを70程度作成。 質問作成専門家?に意見を聞いてとりまとめ。
 主任研究員20万円/人日×60人日  ~1200万円
 研究員10万円/人日×60人日  ~600万円
・委員への手当
 1問あたりもっとも詳しそうな専門家に意見をきく(複数にきくと対立したりして面倒なので)。1問あたり5万円の手当。
 50000円×64問 =320万
・検討会議の開催
 検討会議を5回程度開催。
 1回あたり  (日給10万+交通費 )×5名 ~100万円
  ×5回=500万円
・報告書執筆、プロジェクト管理
 主任研究員20万円/人日×40人日  ~800万円
 研究員10万円/人日×40人日  ~400万円
・計 7000万 程度。 


 どのように見積もられ、実際に支出されたのか開示すべきである。


3)内容について
・報告書およびそれを踏まえて公開されたQAはこちら。  
 これをみても、いずれもどこかで公開されているようなQAの2番煎じ。 7000万円をかけるような内容ではない。


・体系性のなさ
 64問が羅列されているだけである。
 基礎知識
 原発事故とその経緯について
 現状
 今後の見通し
 問い合わせ窓口
  程度に分類すべき。


4)細かい点
・どのように情報を収集したのか?
 1日1000件に限定しているので、topsy.comを使ったっぽいが。


・質問の例 p.22 以降
 質問をつくるにあたって参考にした書き込みの出所ぐらいは明示すべき。


・専門家 p.50にあるとおり
 大場恭子(金沢工大)
 金子正人(放射線影響協会顧問 →この人は過去には東電の原子力本部長だったようである)
 北村正晴 おなじみ
 工藤博司 おなじみ
 笹川澄子  
 どのようにしてこの人達を選んだのか基準ぐらいは示して欲しい。


・100mSV以下ではわかっていないといういつもの回答 広島、長崎のデータでは 線形モデルが支持されているにもかかわらず。。。14報の概要参照


・回答についてはその根拠を示すべきである。


・疲れたのでこれくらいに。   


4.おまけ
1) ADK
 平成23年度新エネルギー等設備導入促進事業(固定価格買取制度の理解促進事業) 1件 で2億も受注したようである。
2)天ぷら資料、天ぷらプロジェクト
 官公庁からの仕事には、仕様さえ満たしたものを期日までに仕上げればいい、というタイプのプロジェクトもある。とにかく"あげればいい"ので、"天ぷら報告書"とか"天ぷらプロジェクト"とか呼んでいた。 このようなプロジェクトでは、期日と仕様さえ見かけ上満たしていれば内容はほぼ問われない。逆に言うと、仕様を満たしているかだけは、チェックするわけで、このプロジェクトで100問を満たしていないことは異常である。



5.意見
 本事業の成果について国民の皆様からも様々なご意見をいただきながら、より良い放射線影響等に関する広報を目指して参ります。ご意見は、下記メ【放射線等に関するQ&A ご意見受付: qa-uketsuke@meti.go.jpールアドレスまでお寄せください。
 とある。自分でチェックして意見を寄せるとよいでしょう。私もこれをメールしました。

2012年4月9日月曜日

環境省「放射性物質汚染対処特措法施行規則改正案について」  へのパブリックコメント 2012/4/9送信
0)改正法案の公開について
 意見公募が短期間であるにもかかわらず、環境省での閲覧、郵送のみに限定している。改正前後の比較表をインターネット上で公開すべきである。
なぜそうしないのか、理由を明らかにすべきである。

1)受付期間について
 重要な法案であるにもかかわらずパブコメ受付が1週間しかないのは不適切である。下記の規定に明らかに反する。
なお、意見提出が30日未満の場合のその理由 とある文書も公開されているが、なぜ不公正になるのか意味がわからないものである。
期間を30日以上とるべきである。

意見提出期間は、命令等の案の公示の日から起算して30日以上でなければならない。
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/gyoukan/kanri/tetsuzukihou/iken_koubo.html

2)経緯について
 警戒区域等内の空間線量の低い地域では、警戒区域等の解除前でも
事業活動が再開され、相当量の廃棄物が生ずることが想定される。

 とあるが、このような廃棄物が生じる場所を、そもそも警戒区域等の解除 すべきではない。
 もしくは国や原子力事業者が 処理をした後に 一般事業者に引き渡すべきである。
 よって、このような想定をした本改訂は無意味である。

3)改訂内容について
 上述のように手続きおよび内容においても改訂はすべきではないが、インターネットで公開されている概要の問題点についても指摘しておく。

◯ 事業活動に伴い生じた廃棄物については、対策地域内廃棄物から除外し、
当該廃棄物を排出した事業者が、事業系一般廃棄物又は産業廃棄物として、
自ら処理を行うこととする。

・事業者の定義の問題
 以下において使用する用語は、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地
震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関
する特別措置法(平成23 年法律第110 号)において使用する用語の例による。

とある。しかし、同法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H23/H23HO110.html
によると

原子力事業者
関係原子力事業者等
水道事業者
工業用水道事業者
の4種類が定義されているが、単に「事業者」は定義されていない。ここでいう事業者がどれを指すのかが不明である。一般的にはこれら以外の企業も事業者と呼ばれる。そもそも放出された放射性物質の処理は今回の場合、電気事業者である東京電力にある。事業者がこれに限定されるのであれば、この条文でも不都合は小さいが、企業などの一般事業者が含まれる場合には、電気事業者がおこなうべきことをさせることになり、法律的に不適切である。
 さらに、医学的にも素人である事業者が処理することは不適切であることはいうまでもない。

・「事業活動に伴い生じた廃棄物」
 事業活動とは何を指すのか?工場を除染した結果の廃棄物、仕入れた原料が汚染されていた、など多様な原因があり得る。あまりにも規定が曖昧である。
 
・「事業系一般廃棄物」
 として扱える放射線量が規定、明示されていない。
  
・「自ら処理」
 どのような処理を想定しているのかが明示されていない。単にまとめて放置するのか、放射性物質として管理するのかなど、厳密な規定が必要である。
 さらに処理をおこなった場合の費用の負担についても明示されていない。

・関連法との不整合
放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律
原子炉等管理規制法
原子力賠償法
 いずれも (放出された)放射性物質の管理、処理責任は原子力事業者にある。それを(一般の)事業者に行わせるということは、関連法とも不整合である。そのような変更をするとしたら、関連法を含めて充分な時間をとった議論を行うべきである。

 以上、極めて不十分な内容であり、全面的に見直し、充分な時間をかけて議論すべきである。