2012年4月9日月曜日

環境省「放射性物質汚染対処特措法施行規則改正案について」  へのパブリックコメント 2012/4/9送信
0)改正法案の公開について
 意見公募が短期間であるにもかかわらず、環境省での閲覧、郵送のみに限定している。改正前後の比較表をインターネット上で公開すべきである。
なぜそうしないのか、理由を明らかにすべきである。

1)受付期間について
 重要な法案であるにもかかわらずパブコメ受付が1週間しかないのは不適切である。下記の規定に明らかに反する。
なお、意見提出が30日未満の場合のその理由 とある文書も公開されているが、なぜ不公正になるのか意味がわからないものである。
期間を30日以上とるべきである。

意見提出期間は、命令等の案の公示の日から起算して30日以上でなければならない。
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/gyoukan/kanri/tetsuzukihou/iken_koubo.html

2)経緯について
 警戒区域等内の空間線量の低い地域では、警戒区域等の解除前でも
事業活動が再開され、相当量の廃棄物が生ずることが想定される。

 とあるが、このような廃棄物が生じる場所を、そもそも警戒区域等の解除 すべきではない。
 もしくは国や原子力事業者が 処理をした後に 一般事業者に引き渡すべきである。
 よって、このような想定をした本改訂は無意味である。

3)改訂内容について
 上述のように手続きおよび内容においても改訂はすべきではないが、インターネットで公開されている概要の問題点についても指摘しておく。

◯ 事業活動に伴い生じた廃棄物については、対策地域内廃棄物から除外し、
当該廃棄物を排出した事業者が、事業系一般廃棄物又は産業廃棄物として、
自ら処理を行うこととする。

・事業者の定義の問題
 以下において使用する用語は、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地
震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関
する特別措置法(平成23 年法律第110 号)において使用する用語の例による。

とある。しかし、同法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H23/H23HO110.html
によると

原子力事業者
関係原子力事業者等
水道事業者
工業用水道事業者
の4種類が定義されているが、単に「事業者」は定義されていない。ここでいう事業者がどれを指すのかが不明である。一般的にはこれら以外の企業も事業者と呼ばれる。そもそも放出された放射性物質の処理は今回の場合、電気事業者である東京電力にある。事業者がこれに限定されるのであれば、この条文でも不都合は小さいが、企業などの一般事業者が含まれる場合には、電気事業者がおこなうべきことをさせることになり、法律的に不適切である。
 さらに、医学的にも素人である事業者が処理することは不適切であることはいうまでもない。

・「事業活動に伴い生じた廃棄物」
 事業活動とは何を指すのか?工場を除染した結果の廃棄物、仕入れた原料が汚染されていた、など多様な原因があり得る。あまりにも規定が曖昧である。
 
・「事業系一般廃棄物」
 として扱える放射線量が規定、明示されていない。
  
・「自ら処理」
 どのような処理を想定しているのかが明示されていない。単にまとめて放置するのか、放射性物質として管理するのかなど、厳密な規定が必要である。
 さらに処理をおこなった場合の費用の負担についても明示されていない。

・関連法との不整合
放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律
原子炉等管理規制法
原子力賠償法
 いずれも (放出された)放射性物質の管理、処理責任は原子力事業者にある。それを(一般の)事業者に行わせるということは、関連法とも不整合である。そのような変更をするとしたら、関連法を含めて充分な時間をとった議論を行うべきである。

 以上、極めて不十分な内容であり、全面的に見直し、充分な時間をかけて議論すべきである。