2011年9月27日火曜日

原発は(技術的には)80年代には終わっていた!

これはこちらの原稿の一部。

日本の原子力は、GE、ウエスティングハウスなどと提携し、技術を導入してきた。これに伴って原子炉の国産化率は高くなってきた[1]。それでは特許についてはどうだろうか。特許のキーワードとして「原子力」もしくは「原子炉」を含む特許の出願件数を検索した。参考のために、「太陽電池」についても同様に検索した。
 1970年から2009年までに、原子力は28,960件、太陽電池は28,685件が出願された。実際に特許として登録されたのは原子力8,257(登録率28.5%)、太陽電池5,257(18.2%)であり、原子力の方が登録率は高い。
 ただし、時系列での出願パターンは大きく異なる。ともに1970年の出願数はゼロであったが、原子力は1980年代の前半をピークとし、その後は一貫して減少してきた。一方、太陽電池は一貫して増加し、ここ数年ではさらに急速に件数が伸びている。原子力については、鉱工業の研究支出もプロットした。年度による変動があるものの、1980年代にピークがあることは共通している。
 日本の原子力発電所を海外に輸出したり、技術を維持することの重要性を指摘する声もあるが、イノベーションの発生という点からみると原子力発電所は1980年代前半に峠を超えていたのである。
















図1 原子力、太陽電池の特許出願件数、原子力への研究支出の推移
)ウルトラパテント・データベース(https://www.ultra-patent.jp/)を用い、原子力については (原子力 | 原子炉)、太陽電池については(太陽電池)で、それぞれ出願年を指定して検索。
 研究支出は日本原子力産業協会 (2005),p.47 集計表6 鉱工業の費目別原子力関係支出高の推移


 原子力産業協会 (2007)の継続調査によると、民間企業における原子力関係研究者も一貫して減少している。


出所) 原子力産業協会 (2007), "2005年度 第47回原子力産業実態調査報告."
図2 民間企業における原発関連従業員数




[1] 例えば1967年に着工した福島第一1号機のプラント国産化率は56%であったが、1992年着工の柏崎刈羽原子力発電所は89%である。
 東京電力「福島第一原子力発電所 設備の概要
 http://www.tepco.co.jp/nu/f1-np/intro/outline/outline-j.html
 東京電力「柏崎刈羽原子力発電所 設備の概要
 http://www.tepco.co.jp/nu/kk-np/intro/outline/outline-j.html